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津原泰水『バレエ・メカニック』

最近すっかり読む読む詐欺というか途中まで読んで放置……みたいなのばっかりだけど、めずらしく引き込まれてあっというまに読んでしまった〜! 話の続きが気になるのもそうだけど、文章がとにかく好きだなあ。美しいんだけどただ耽美なのともまた違う、でも悪趣味まではいかない。。金糸雀ももちろんそれに似てる龍神も、相当美しいんだろうなぁと読んでて思ったのだけど、"美しい"という言葉をあまり多用せずにそう思わせる技量がすごい。
3章構成になっているのだけど、どれも人称も趣向も全然違っておもしろい。3章はいきなり全然毛色が違ってびっくりしたし、ラストシーンはん?どういうこと?ってちょっとなってしまいましたが。1章が二人称なのは木根原の述懐を聞いている龍神の視点ってことなのかな? 2章の"彼女"と"<彼女>"の使い分けも好き。読み進めていくと登場人物たちのこれがこうなったのかーっていう驚きもありつつ、どれか一篇単体でも完成してて、読みごたえある。馬車で調布から四谷まで向かうとか、脚の一本欠けた蜘蛛が東京をかけまわるとか、いちいちモチーフが魅力的だし、1章も2章もラスト付近の会話がとてもリリカルで……。そこまで後味も悪くなかったし、ほかの作品も読みたいな〜。