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Growth『ALIVE Side:G Vol.2』

前にもちらっと書きましたが、いまわたしがいちばん好きと言っても過言ではないユニットGrowthの新譜が出ましたよ。そもそも曲がすごく良いなってところからこのユニットへの興味が始まったわけですが、CDに収録されてるドラマがもうものすごく良いんですよ……!
ほんとにすごくざっくり大ざっぱに言うと辞めジュがほんとうにやりたい音楽をやるために再デビューをめざす話なんですが、そのオーディションで歌っている曲がCDに収録されている3曲という設定なので、楽曲とドラマがかなり密接に繋がっています。その『やりたい音楽』っていうのも、こういう設定だとついつい「どうせ"本物のロック"()とかだろ……」とか思っちゃうんですけど、これがなかなかどうしてコーラスを主体にした聖歌隊っぽい重厚な曲調で、しかもそこにワールドミュージックぽい味つけがされていたりするのもおおっと思わされるところです。
ドラマの設定自体もかなり作り込まれていて、辞めジュというのもあながちわたしの与太ではないんです。たとえばグループのうち3人はもともと大手のアイドル事務所のジュニア(言葉はそのままだけどアクセントが違う)で、そのうちふたりはセット売りをされていて片方は親しみやすいキャラで片方は王子様。残るひとりはグループの中心的存在で、オーディションを受けずに社長の熱心なスカウトで事務所に入ってひとり推されまくったスペオキだったんだけど、社長が変わっちゃってそんなに推されなくなって結果的に事務所も円満に辞めることができた……っていう、ほんとにありありと想像できるような話なんですが、ただそれが意味のない設定のための設定になってなくて、「元アイドル」っていう要素があることでドラマのなかで語られるアイドル論に説得力がしっかりと出てきてるのが素晴らしいところです。
いまや二次元男性アイドル戦国時代と言ってもおかしくないくらいアイドルもの全盛なんですが、その作中でしっかりとアイドルの仕事を描けているものって意外とそんなになくて、アイドル論的なところにまで踏み込んできてるものとなるとほとんどないと思います。まあアイドルものって簡単にキャラクター増やせるし、キャラソン無限に出せるしで商法として便利なところが大きいので致し方ないところではありますし、そんな難しいこと考えたくないよっていう向きも多いとは思うんですが、個人的にはだったらべつに三次元のアイドルでいいじゃんってなってしまうんですよ。というか、現実のアイドルのやりかたをそのままなぞったところで現実には勝てなくないですか?っていう。その点、この作品は志半ばでいったんは芸能界を退くことになった少年たちが、不思議な作曲家と出会って自分たちの夢をかなえるためにもう一度がんばってみるという現実的でもありおとぎ話のようでもある筋書きもさることながら、やめると決まってからも残っているぶんの契約は消化しなきゃいけないみたいなところとか、やめることを公言したらファンレターが増えたり、やめる理由は言えないので学業に専念するということになってたり、最後のファンレターを引き取ってきたときのなんとも言えない複雑な空気とか、、細かいディティールが書き込まれているのでこんなこともどこかで起こっているのかなあと思わされるんです。しかもそれが裏側暴いてやるぜーみたいな下品さもなく、ただただ淡々と描かれているというか、、過大評価かなあ。。
しかしやっぱりこの作品で真に素晴らしいのは楽曲です。作中でも独特な雰囲気でそれでいて耳に心地良いと表現されているまさにそのとおり、物語に多大な説得力をもたらしています。これでダサい曲だったら一気にすべてが台無しになっちゃいますからね。。それでいて4人の歌声もとても魅力的で、全員ほぼ無名の声優(山下くんはちょっとだけ飛び出してるのかな)っていうこともあって変な先入観もなく、声優歌唱にありがちなクセもなくてするっと聴けます。2人はまだ準所属ってことでそこも物語と微妙にリンクして、、なくていいんですけどねそこは。準所属ってまだいついなくなるかわかんなくて安心できないのであんま言いたくないんですが、しかしカリスマ的スペオキ(語弊ある表現)を演じてる土岐隼一くんの歌声がほんとに好きなんですよ! これがはじめてもらった名前のある役なんだそうですが、そんなふうには感じさせないくらい深みがあって凛としていて、穏やかなのだけど朗々としているというか。とりあえずALIVEは全4巻なので今年いっぱいは大丈夫なはず、、うたプリ3期6話(カミュ様回)に出てたらしいんですがどこにいるかわたしの未熟なセンサーでは全然わからんかった、、、。でもアニメで活躍するって声ではないかもなあナレーションとかかなあ……。でも結局ウィズラインだしなあ、、、、いや、話がそれました。とにかく4人ともすごく歌が上手くて、鬼のようにハモりまくっていて楽しいです。このALIVEというドラマCDはGrowthと対になるSOARAというバンドのほうもいるんですけど、そっちは豊永利行小野友樹というさらに歌の上手いふたりがヴォーカルなので、いろいろ切磋琢磨していってくれたらいいなあと思います。
今年は奇を衒わずシンプルで、でもしっかりと作り込んだいい曲が盛り上がってるような機運をひそかに感じてるのですが、それを象徴するような作品かなと思ってます(ほかには入野自由『僕の見つけたもの』とか野島健児『いつかどこかの僕について』とか)。あと残り2巻も楽しみです。大げさかもしれませんが既存の男性声優楽曲に対するカウンターたりうるユニットだとわたしは思ってます! 1巻は曲だけならiTunesで買えるのでぜひ!(ダイアリーだときれいにリンクが貼れない……)
‎Growth/土岐隼一、山谷祥生、山下大輝、寺島惇太の「「ALIVE」その1 Side.G - Single」をApple Musicで