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超個人的男性声優楽曲大賞2014(後編)

続きです。はっきり言ってもう今年は8位以降どれが1位でも正直おかしくないなって気分です。いわゆる神8。


10. だってまだまだアバンタイトル / 師走駆(CV:梶裕貴)&如月恋(CV:増田俊樹
『だってまだまだアバンタイトル(ツキウタ。デュエットシリーズ(年少組1)師走駆&如月恋)』2013.12.27 ムービック
作詞・作曲・編曲:さつきがてんこもり
速めの四つ打ちベースにピコピコでとにかくかわいらしくキラキラした一曲。3分半と曲が少し短めなのもちょうどいい按配。台詞の掛け合いもコミカルで、同じ組み合わせの「イノセンシア」がありったけの儚い少年性を詰め込んだという趣なのに対して、また180度違った顔を見せてくれています。ただ正直「なんだと小市民ー!」はなに言ってるのか聞き取れない苦笑


9. Backed out / OLDCODEX
『A Silent, within The Roar』2014.4.2 ランティス
作詞:YORKE. 作曲・編曲:Gz
超大穴。イントロから一貫して繰り返される不思議なリフが癖になります。どこか呟くような吐き捨てるような歌い方といい、いままでの勢いで押し切る曲とはまた違った新たな一面が見えた気がしました。このアルバムはメロコア色が強いながらも、この曲や突如として四つ打ちが導入され若干のダンスフロア意識を思わせる「optimistic negative thing」などところどころに挑戦が感じられます。正直武道館行きたくなってきてます。


8. AS IT IS / 神原秋人(CV:KENN)
『「境界の彼方」キャラクターソング Vol.2』2014.1.8 ランティス
作詞:松井洋平 作曲・編曲:渡辺和紀
超かっこいいファンキーチューン。渡辺和紀に信頼しかない。随所に入る咆哮含めこれを歌いこなすけんぬの表現力はすごいのに、なんで肝心の本編の演技はアレだったのか……。相当迷ったのですがもう一曲の「CAGE FOR LOVE」もほどよく重くてしかしダークすぎず、両方ともキャラクターのイメージにうまく合っていて名曲です。


7. CATWALK / 吉野裕行
『Peace』2014.10.29 Kiramune
作詞:喜介 作曲・編曲:渡辺拓也
バブル! このひとの特徴的な声質だと、普通の30代男性を描いたような歌詞があまり説得力をもって聞こえないのですが、そのぶんこういう女目線の歌詞は独特の表現力が生まれてぴったりはまっています。夜のにおいがする音と歌詞なのですが、生々しくならずそれでいてギャグにならず聴けるちょうどいいバランスの声というか。


6. Power Move / X.I.P
『Naughty!!!』2014.3.19 ソニーミュージックレコーズ
作詞:大内正徳 作曲・編曲:平田祥一郎
祝音源化!!! 前2作はX.I.Pがわりと攻撃的な曲調で、ライバルの3 Majestyのほうがザ・ヒラショーでしたが、3曲目にしてそのイメージが少しずらされました。平田さんお得意のハネたリズムが前面に押し出されつつ、クセのある感じはそのまま残されていて、清潔感の強い3 Majestyの2曲とは差別化が図られています。コナミのゲームの劇中歌なうえに平田さん仕事なので、"結構リズム感いいね ゲームで鍛えてたな"の小ネタがDDRを思わせてにくい。


5. VOICE / 宮野真守
BREAK IT!』2014.11.12 キングレコード
作詞:ucio 作曲・編曲:TSUGE
ワブルベースだったり重めの四つ打ちだったりを取り入れながらも、どこかガツガツした感じからは遠く、ところどころに入るピアノの音や疾走感というよりはむしろ車窓の景色が遥か後ろに流れ去っていくようなサビが綺麗な印象を与えます。かと思うとそのまますんなりとは終わらず、アウトロでもうひと展開あり唐突に終わるのが一筋縄ではいきません。STYさんとTSUGEさんには同じような立ち位置の曲がいくつかありますが(「EGOISTIC」と「Burning Point」、「IT'S THE TIME」と「GOLDEN NIGHT」、「passage,」と「未来」)、「BREAK IT!」とこれもそんな感じがします。ふたりともダンサブルな曲を得意としているので似ているように見えて、STYさんはそんなに展開を広げないのに対してTSUGEさんは叙情性を持ち込んでくるイメージがあります。これは現場で観るのが待ち遠しい!


4. Way to Victory / 緑間真太郎(CV:小野大輔)feat. 高尾和成(CV:鈴木達央
『「黒子のバスケ」SOLO MINI ALBUM Vol.3 緑間真太郎 -Shooting My Luck-』2014.7.7 ランティス
作詞:こだまさおり 作曲・編曲:渡辺和紀
最高。渡辺和紀しか。イントロの時点でいい曲だとはっきりわかる興奮、それがサビで「あれっ?」とずっこけたりせずに最後までいい曲のまま終わる高揚感。しかもセリフや「じゃんけんぽん!」などキャラソンとしての要素もしっかり入れ込んできていて、それが上滑りしておらず曲を構成する要素として不可欠になっているのが素晴らしいです。いままで数多くデュエットしてきたふたりだからこその息の合った歌唱、そしてなんといってもふだんの歌手活動ではなかなか聞けない達央くんの上ハモが最高。


3. silent stride / 寺島拓篤
『PRISM』2014.10.29 ランティス
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:蓮尾理之
単純に曲としての好みで言えばこれが1位かもしれない。寺島さんはわりとゴリゴリしたロック系の曲を多くレパートリーとしている印象ですが、これはそのいままでのイメージからは少し離れた、浮遊感のあるシンセとキーボードが綺麗な曲。それもそのはずschool food punishment! この人脈いったいなんなんでしょう。1stアルバム『NEW GAME』と比べてこの2ndアルバムはかなり曲調の幅が広がり、一曲ごとにまったく違った世界を魅せてくれる感がありますが、1stの最後の曲「C.M.K 〜コズミックナイト〜」がどこかパーティの終わりのような刹那的な解放感のある曲なのに対し、今回こんなまるで自分の部屋の内側にいるような内省的な曲をラストに持ってきたのもまた対照的です。


2. Welcome!!DISCOけもけもけ / コックリさん(CV:小野大輔)、狗神(CV:櫻井孝宏)、信楽(CV:中田譲治
『Welcome!!DISCOけもけもけ』2014.10.29 KADOKAWAメディアファクトリー
作詞・作曲・編曲:前山田健一
もしもわたしがアイドルオタクじゃなければ、これを素直に1位にしていました。いかにもヒャダインといった感じの意味不明で耳を惹く歌詞とキャッチーなメロディにせわしない展開はアイドルでやられるとくどくなりがちですが、これはめまぐるしいセリフの掛け合いがキャラクターソングという特性にぴったりはまっています。ジェットコースターのごとくまったく飽きを感じさせずに曲が終わってしまい、物足りずまたリピートしてしまう謎の中毒性すらあります。


1. JUMBLE TOWN / 寺島拓篤
『PRISM』2014.10.29 ランティス
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:Shinnosuke
2014年でいちばん正しいアイドルソング。いやアイドルじゃないじゃんというのはさておき。同じ作曲者の手による「きっと大丈夫」を思わせる軽快なトラックに、乗る歌詞は正直ゴーストが書いたと言われても納得してしまいそうな完成度。途中に入る笑い声の絶妙なウザさまで含めて完璧。一部の声オタだけに留めておくにはあまりにもったいない名曲。もしこれを本当にアイドルが歌っていたら間違いなく話題になっている類の曲だと思います。
昨年の時点ではまだそこまでとは思っていなかったのですが、この『PRISM』というアルバムを通して聴くとこのひとは作詞専業でもやっていけるんじゃないかとほんと感服します。自分の伝えたいことがしっかりあってなおかつ曲の世界観をつかむのが上手いのでしょうが、本人いわく「歌詞は全曲漫画やアニメやゲームの作品をモチーフにしている」とのことで謎が深まります。これがライヴではどんなふうにパフォーマンスされるのか一度見てみたい。というわけでついに7日のダイバーシティ行ってきまーす!



というわけでなんと寺島さん2冠という衝撃の結果になってしまいました。あのですね、正直に言うと声優としての寺島さん全然好きじゃないんですよ。声自体はそんな好みじゃないし歌い方のクセは強いしそもそも振る舞いがいちいちずる賢いし。ただこのひと異常に楽曲に恵まれてる(というか謎に人脈が広い)のと、自分の立ち位置とか求められてるものを客観的に認識するのが上手いというのが大きくて。なのでもう楽曲派としては無理やりねじ伏せられて降参せざるを得ないって感じです。
シリーズものだとツキウタが意外と掘り出し物が多かったです。それ以外だとKiramuneが謎にリリース多いのもあって豊作だった気がします。とくに吉野さんが今年に入って勢いづいてます。Free!関連は1期のほうがダントツに曲がよかったですね……というか最初のキャラソンシリーズがむしろ力入りすぎでした。うたプリの先輩ソロは藍ちゃんがいちばんいいかなあ。
あとはやっぱり安定の渡辺未来渡辺和紀兄弟が強かったです。クレジットにいたらその時点でもう絶対外さないっていう安心感が生まれますもん。渡辺翔渡辺泰司渡辺拓也とかも含めて一回誰か『渡辺』しばりのDJやってくれないですかね笑
去年はわりとクールで一曲通してテンションが変わらない曲が多い印象でしたが今年はその逆かなあ、というなんとなくの感触です。わりと軽快で起伏のある曲が多めというか。あとこれは本当にもうめちゃくちゃ個人的な変化なんですが現場で観たいかどうかというのが新たな評価基準として加わりましたね……。これはちょっとあんまりよくないかもしれません。しかし来年もどんな曲と出会えるのか楽しみですね!