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超個人的男性声優楽曲大賞2015(後編)

前回の続きです。いまさらすぎますけど、どっちかというと楽曲大賞よりなれのはてアワードですよね、これ。あ、期待してるかたいたら申し訳ないのですが、1位は寺島さんじゃないです。。。




10. きみとシークレット / 大国主(CV:森久保祥太郎
作詞:宮川弾 作曲・編曲:谷口尚久
神様はじめました◎キャラクターソング03〜つかまえて欲しいわ! 神々の戯れ〜』2015.2.18 ポニーキャニオン
心ときめくイントロからしてもう間違いない。このCD自体3曲ともとても良いんですが、意外とこういう曲いままであまりなかった気がします。女性コーラスと流麗なストリングスが艶かしいですがへんにアダルティな感じではなく、どこか美しさすら感じさせる不思議な曲。森久保さんてなに歌っても森久保!っていう主張が強いですがこの曲にかんしてはどういうわけかくどさがあまり嫌にならず聴けるのもまた不思議。


9. たまにビター、それがベター / グリ(CV:島崎信長
作詞・作曲:さつきがてんこもり  編曲:colate
『双子の魔法使いリコとグリ マジカルハット』2015.10.17 ムービック
信長くんの最大の特徴って語弊を恐れずに言ってしまえばその圧倒的な歌心のなさ。だと思うのですが、いやこれはけっして歌が下手という意味ではないのです。むしろ技術だけで言えば悪くないと思います。しかし、、いやなんと言えばいいのでしょうねこれは。とりあえずいっしょに歌う相手をかなり選ぶ歌声だと思います。ふつうそういうタイプって主張が強すぎるゆえにそうなることが多いんですが、信長くんの場合そういうわけでもないというか……。そのせいで水瀬いのりとのデュエット「おかしな呪文」は絶望的に喰い合わせが悪くなっているのですが(楽曲自体はすごくいいんですけどね)、ソロ曲ならそんなに気にならない、というかその融通のきかなさがうまく処理されてるような気がします。もしくはかれもボーカロイドだったのかもしれない。さつきがてんこもりお得意のピコピコアップテンポに乗る、早口言葉……? 呪文……? が軽快です。


8. 君の瞳のMoonrise / 地場衛(CV:野島健児
作詞:こだまさおり 作曲・編曲:大森俊之
美少女戦士セーラームーンCrystal キャラクター音楽集 Crystal Collection』2015.4.29 キングレコード
スタイリッシュでスマート、大人の余裕を感じさせる音づくりと歌いぶり。Aメロからサビへと進んでいくにつれて手数が増えていく緩急ついた緊迫感ある展開で、難解な要素がないのにもかかわらずダサさがいっさいないのがすごい。後ろで小刻みに鳴ってるリズム隊が心地良いです。夜っぽい曲調に乗る声が少し高めなのがまたいやらしくならず絶妙なバランスですてき。


7. どうぶつのサガ / SolidS
作詞・作曲・編曲:じょん
SolidS Vol.4』2015.10.30 ムービック
4部作CDの完結編にしてギターとともにじょんの悪意が炸裂しまくっています。"課金勢の乙女の教典はNo.1 夜獣のエッセイ/シャレんなんないね負の妄想をきれいなロマンスって信じて""プライドも全部彼が支えなんてもうヤバいだろ"、この悪意しかない歌詞をよりによってこのメンツに歌わせるヤバさ。なにせSolidSって写真集まで出してますし、乙女のおまいつ勢揃いのなかでもとくに容姿とか私生活とかの本業以外の部分で話題になる要素が多いひとたちです。しかもSolidSというグループ自体が設定中でも女の子に人気のあるアイドルという点で二重に罪深い。Vol.4も最後だけあって名曲ぞろいなのですがまさかこんな爆弾持ってくるとはじょんほんとうに恐ろしい。ときおりバックで鳴る半ばノイズめいた音がちょっとサイケ感あって好きです。


6. TRUST ME / 宮野真守
作詞:WISE 作曲:TSUGE、Jae 編曲:TSUGE
『FRONTIER』2015.9.18 キングレコード
声優トラップ。と、みんなが言ってるので書いてみましたがトラップがなんだかいまだによくわかってません(でもFCイベの客入れBGMでこんな感じの曲かかってたから実際宮野さんのなかのブームなのかもしれない)。しかし全声優楽曲のなかでもぶっちぎりで『新しい』ことは確かだと思います。TSUGEさんこういう引き出しもあるんですねえ。ラップしまくる宮野さんってのもけっこう新鮮かも。Bメロ(という表現でいいんでしょうか? A'? "君知らない世界見せる〜"のあたり)でヴァースがいきなり倍速になる錯覚が快感。しかし"僕を信じて"ってタイトルなのに"いいよ僕のせいにしてあげる"ってすっげー上から目線というかなんというか……!


5. 見果てぬ世界、繋がる想い / 入野自由
作詞・作曲:佐伯youthK 編曲:渡辺拓也
『僕の見つけたもの』2015.5.8 Kiramune
みゆくんのいままでの作品とくらべて、このミニアルバムはシンプルな歌の力が強く感じられるようになりました。はじめて聴いたのが現場だったのですが、あくまで本業の歌手じゃない声優という職業で、ここまであきらかに音源より生歌のほうが優れているひとも珍しいなと驚嘆したことを覚えています。もはやなにを歌ってもその歌声のみでいい曲にしてしまうというか。考えてみればみゆくんはどんな仕事をするときも自然体というか、これはこういうジャンルだからと切り分ける意識がなく向き合っていけるあたりが特異な存在なのかなという気がします。6曲すべて良いのですがやはりリード曲のこの曲がそれにふさわしく素晴らしい。小手先のギミックは一切なし、ただただ伸びやかで広がりのある曲のよさと圧倒的なヴォーカルの力で言葉を忘れて聴き入ってしまいます。


4. ラダ・キアナ / Growth
作詞・作曲・編曲:じょん
『ALIVE Side:G Vol.1』2015.2.20 ムービック
ひとに声優楽曲をすすめるときにいちばんのネックになりがちなのが声優歌唱のくどさです。実際男性声優で精力的に音楽活動をしているひとたちは上手い下手問わず歌い方にクセがあるひとが多いし、むしろ慣れればそれが魅力のひとつとも言える気がしますが、Growthはそんな状況において挑戦的なユニットかなと思ってます。少しいなたさを感じさせるどこか北欧ぽいメロディに複雑なハモリというだけでおたく受けする要素は備えてますが、もはやそんなレベルで片づけられないほど全編にわたってひたすらじょんのハーモニーへの偏執が展開され、最後の長い長い"ララッタッタライオ〜"のハモりには果てしなく続く螺旋階段に迷い込んだかのような快感すらあります。またこの4人の声質自体がそもそも似ていて、それぞれ微妙に特徴が異なりながらも重ねたときに誰が誰だか判別しづらいほどとても気持ちよく溶け合っているのが素晴らしい。これたまたまだと思ってたんですが、それもじょんがものすごく細かくバランスをいじってるとあとから知ってぶったまげました。もはやじょん大先生と呼ぶしかないというかまじでこんな才能いままでどこに隠れてたんだ……。


3. 枕男子 / めりぃ(CV:花江夏樹
作詞・作曲・編曲:大石昌良
枕男子』2015.8.26 アーススター
今年の男性声優楽曲的MVPはもしかしたら花江くんなんじゃないかと少し思っていて、実際気づけばすっかりいろんなところで名前を見るようになり、それにともなってその歌唱力も知られるようになったところだと思いますが、その才能がさらに大石昌良の才能と真っ向からぶつかりあって最大限に引き出されてるのがこの曲なんじゃないかと思います。そもそもタイトルにもあるように枕を擬人化したキャラクターの歌。という、常人にはにわかに理解しがたい設定からしてハードルが高いのですが、それをみごとに形にしてしまったほうもしてしまったほうなら、歌ってしまうほうも歌ってしまうほう。あまりに衝撃的な「電気消して♡」をはじめとして随所に差し挟まれるセリフがまたいちいち凝っているうえに、アウトロでいきなりなんの脈絡もなくセリフが始まる(しかもそのままフェードアウトで終わる)あたり完全に意味不明で、もしかしてシチュエーションCDを歌にしたらこうなるのかもしれません。またあえて"ダーリン"(もちろん本来男女両方に使える言葉ではありますが)という単語を中性的な花江くんの歌声に持ってくるセンスも素晴らしい。


2. レッスンAtoB / 柿原徹也
作詞・作曲:佐伯youthK 編曲:宮崎誠
『orange』2015.10.28 Kiramune
枕男子花江夏樹のファンクネスならこっちは柿原徹也のファンクネス。多彩な声色を使い分けるのはもちろん声優だからこそできる表現とも言えるのですが、この曲の場合はそれ以上に柿原さんの表現者としてのポテンシャルが色濃く出ているのではと思います。柿原さんて男性声優のなかでもとくにクセの強い歌声ながらいままでなかなかそれを活かしきれてなかったイメージありましたが、ダンディギといい咲いちゃいなといい、佐伯youthKさんと出会ったことで完全になにかつかみきった感じがあります。出だしのライミングだかなんだかわからないあたりからいきなり度肝を抜かれる。大量にある歌詞に書いてないセリフ部分とか、ところどころに挟まる「アッ」ていう短い声とか、すべてが変態的でもう声優界の岡村靖幸と呼びたい。でも柿原さん絶対に靖幸ちゃんとか通ってないだろうにこういう表現が出てきちゃうあたりがすごいですよね……。「中村屋!」のところはぜひ「柿原屋!」って言ってあげてほしいです誰か。


1. モノグラム / vanitas
作詞:大喜多崇規 作曲:日向秀和 ※編曲クレジットなし
『ボーイフレンド(仮)キャラクターCDシリーズ vanitas 加賀見朔&新海凛十&音琴嵐&渡世千里』2015.10.28 NBCユニバーサル
もうね、しかたないんですよ。こんなん出されたら降参するしかないんです。ここまでさんざんいろいろ書き散らしてきましたが、結局人間って中学生のころに好きだったものは一生好きなんですよね。2000年代前半邦楽ギターロックの荒涼とした、ヒリヒリする痛みがここには詰まってます。間奏とかとくにもう! と思ってクレジットを見るとまさかのひなっち! そりゃそうだわとひとり納得しきりでした。宮野さんのやってきたロック系の曲ってもっとアニソンぽいパワー系であったり、はたまたエレガのようなドラマチックな曲調だったりが多くて、ロキノン×宮野さんっていうのは個人的にちょっと意外な取り合わせではあったんですが、これがまた知らないで聴いたら本人名義の曲なんじゃないかと思うくらいばっちりはまってます。もう、いいから思い当たるところあるひとはとにかくいますぐ聴いて! しかしバンドもののキャラソンっていうテーマでこういう曲を出してくるのがまったく予想だにしてなくて、ボーイフレンド(仮)のなかにただものじゃないやつがいるなって思わされますね……。



とりあえず今年の総評としては、ムービック最高ってことに尽きます。そして #じょんありがとうじょん 。あと、読んでもらえたらおわかりかと思うんですが現場に行きすぎて全然語彙がなくなりました、、、自分にとっていい曲かどうかってことはさすがにまだ判断できるんですが、それ以上の言葉が出てこなくって。ランキング自体も中編がとくに偏ってしまってますね。。まだ正気だった4月くらいの楽曲派活動日記を読んでるとよくこんなこと書けてるな!?って自分でもびっくりするんですがほんと今後どうしましょうかね苦笑
しかしこれを書き始めた2年前にくらべるとだいぶ声優楽曲をdigってる友達も増えてきて、男性声優楽曲自体の量も質もいままでとは段違いに盛り上がってきた感じがあるので、ここからがやっと楽しいところなのかなってふうには思ってます。ようやく男性声優も戦国時代の幕開けを迎えたのかなと。なので現場系とかやってる場合じゃないんですが、、。ひとまずは来年もまたすてきな楽曲に数多く出会えることを願って。