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あらためていま、もういちど地球防衛部

2年前に魔界王子っていうアニメがあったんですよ。正直アニメ自体はあれでしたが、キャラソンがものすごく良いのと無駄にニコ生ばっかりやってるという2点で自分にとっては印象的な作品でした。しかし、いまでも鮮明に覚えてるんですがリスアニの夏アニメ全作品OP/EDレビューでスルーされてるくらい誰も話題にしてないのも確かでした……。しかし世の中なにが起こるかわからないもんです。『キャラソンだけ異常にクオリティが高い』『無駄にニコ生ばっかりやってる』なんか思い当たるところありませんか? そう、魔界王子は時を経てまさかの復活を果たしたのです。美男高校地球防衛部LOVE!という名に姿を変えて。
しかし防衛部と魔界王子の最大の相違点は、もはや言うまでもなくキャスティングにあります。メイン4人全員すでにそれなりにキャリアも知名度もあった魔界王子にたいして、防衛部が始まった段階ではかろうじて増田俊樹がそこそこ名前は知られてるかなくらいで、あとの4人はあんた誰?レベルの地下声優。だからといって単純に地下声優を使えば売れると言いたいわけではもちろんなく、魔界王子が地下声優をメインに据えたところでもっとコケてたのは目に見えてます。防衛部が売れたのは、一億総アイドルオタ的な時代の風潮にフィットしたところが大きいのではないかと考えてます。
防衛部がぐだぐだ地下声優顔出しキャラクター化コンテンツとして優れていることは何度も書いて(は消して)ますが、もしこれがすでにある程度売れてる声優だけで固められていたら、おたくにここまでの感情移入を促すことは不可能だったでしょう。どのようなひととなりなのかがまったく世間に知られていないからこそ、つまりみんなのスタートラインが同じだからこそ、視聴者は気後れすることなく堂々と展開される物語に乗っかることができます。そしていつしかかれらの成長を見守っているような気分に勝手になるのです。
また大事なのはメインキャラクター5人を演じている5人がそのまま顔出しコンテンツに出演しているということです。声優自身のパーソナリティを知らないからこそ、先にアニメのキャラクターに感情移入してそれを声優に重ね合わせることが可能になります。作品中ではモブキャラの若手が実写パートに出るみたいなのってたまにありがちですが、その場合アニメと実写が構造として分断されるため効果が薄いんじゃないかと思います。ふつうはいくら売りたいからといって地下声優をメインに据えられないからだと思うんですが、その点防衛部にかぎっては思いきりのよさが功を奏したんじゃないでしょうか。
さらに言えば、その後かれらがほかの作品に出演するたびにあの頃からずっと知ってるけど大きくなって……的な優越感を得ることが可能になります。おたくはみな古参づらをしたい生き物です。地下声優という存在自体が、みんながより知っていないであろうことを知りたいという欲望にマッチしてますが、応援しててもなかなか芽が出なかったり逆に気づいたときにはとっくに芸歴長かったりで、古参づらって意外に難しいもんです。その点でも防衛部はほら、ここにいまから飛び乗れば間に合うぞ!と言わんばかりの適切な解を提示してくれています。まあ乗ったら乗ったでまた新たな苦しみが出てきたりするんですが、それは知ったことじゃない。
つまり防衛部は売れるべくして売れたクソアニメだったのかもしれない。寺島ンタリオンも無駄じゃなかったんだ、、、そしてなにが素晴らしいって寺島たっくまんと福山潤(とあと江口とつぐ様)が防衛部出てることなんですよ! 仇はとったぞ、魔界王子。あとは柿原が出れば完璧なので2期で待ってます。