過去ログ

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超個人的男性声優楽曲大賞2013(後編)

前回の続きです。



10. Believe My Dice / devils and realist
『Believe My Dice / a shadow's love song』2013.7.24 ポニーキャニオン
作詞:hotaru 作曲・編曲:eba
ebaさんの曲は個人的にどれも当たりだと思っているんですが、これもキャッチーなメロディとわかりやすいバンドサウンドがバランスよく調和しています。とくにサビの少年漫画感は他の追随を許さない。こんなにテンション上がる曲なのにリスアニの夏アニメOPEDレビューは完全に魔界王子のことをスルーしたよね……。あとカッキーのパート何言ってるかわからない。


9. Baby! My strawberry! / カミュ (CV:前野智昭) & 神宮寺レン (CV:諏訪部順一)
うたの☆プリンスさまっ♪シャッフルユニット カミュ&レン』2012.12.26 ブロッコリー
作詞:RUCCA 作曲:中山真斗 編曲:菊田大介
硬質なイントロから始まる一貫してクールなリズムに、字面だけ見ればトンチキとしか思えないほどの性的な歌詞が淡々と載ることで、なんとも言えない絶妙なバランスになっています。ふたりとも低音なのもあって、けっこう歌い上げているはずなのに歌声もどこか冷たく、表情ひとつ変えないまま挑発されている気分になります。細かい歌割りにわかりづらいハモリと個人的高まり要素もしっかり。いやしかしほんとカミュ様と婚約したい。


8. Kiss Kiss Kiss / 小野大輔
『UP STAIRS』2013.9.25 ランティス
作詞:サイトウヨシヒロこだまさおり 作曲・編曲:サイトウヨシヒロ
ダッサ!!!!!と絶句すらしかねない歌い出しの「ウォーオオウォーオオー」からして衝撃的ですが、この曲の真骨頂は2番で突然入ってくる謎のラップ(当然ダサい)です。最初に試聴したとき、本当になんの前触れもなく入ってきたのでびっくりして思わず試聴を止めてしまいました。いまだにラップが入ってる意味がよくわかりません。が、これだけダサダサ言っておきながら、なんとなく頭を離れずついつい何度も聴きたくなってしまうのがこの曲の恐ろしさ。このダサ中毒性はハロプロにも通じるものがある気がします、なんて言ったら怒られるでしょうか。2013年にパラパラやってるという、恐ろしいほどのトレンドとの無縁さがいっそ清々しいです。


7. スーパーノヴァ / 宮野真守
『PASSAGE』2013.9.18 キングレコード
作詞:marhy 作曲・編曲:渡辺泰司
宮野真守というひとに抱いていたイメージを一気に覆され、このひとはつくづく器用なひとなのだなあと心から思わされました。それほどに他の曲とはがらりと違う歌い方は、かわいらしいの一言。タイトルが先なのか曲が先なのかは不明ですが、楽曲自体もスペーシーな四つ打ちで、そのキラキラはそれこそTrignalのような明るい輝きというよりも、なんとなくもっと感情的にニュートラルで、ただひたすら白く眩しい光=超新星を思わせます。
さらに武道館でバックダンサーとともに披露されたときには、踊りはキレッキレなのに振り付けがかわいくてかわいくて……しかもサビではヲタも一緒にフリコピできるようになっていて楽しさ倍増でした。隠れがちだったこのひとの新たな一面に光を当てた良曲だと思います。


6. HEAVEN / OLDCODEX
『CONTRAST SILVER』2012.12.26 ランティス
作詞:YORKE. 作曲・編曲:INORAN
このアルバムは買おうかどうしようか結構迷っていたのですが、アルバムのリード曲になっているこの曲のMVを試聴した瞬間にあわてて初回盤を買うことを決めていました。まあ買ってみたらアルバム全体のトーンは全然こんな感じではなくて凹んだんですが……結局INORANがすごいねっていうだけの話だったのか。いやしかしこの曲は本当にかっこいいです。全体を通して繰り返されるイントロのリフがめちゃくちゃかっこいい。歌詞も他の曲とは違ってわりと語感重視な感じですが、それが功を奏しているように思います。よーくさんの歌詞は日本語の方がいいなと思っているのでその点でも好きです。いやでもやっぱりすごいのはINORANであって、たーつーさんは何もすごく、な、いのでは、、、、、なんでもないです。。


5. ポワゾンKISS / QUARTET NIGHT
うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000% 1』特典CD 2013.6.26 キングレコード
作詞・作曲:上松範康 編曲:藤田淳平
自分のなかでうたプリは流行りのサウンドを取り入れるというイメージがあまりなかったので、初めて聴いたとき、なにより"今っぽい"ことに驚きました。「Baby! My strawberry!」もそうなんですが(向こうの方がより顕著ですが)、トラックがそこまでわかりやすく盛り上がらず、一曲を通してずっと一定のテンションを保ったまま進む感じがそう思わせるのかなと。個人的にはそのぶん長く頭と身体に残る気がします。どこか娘。の「A B C D E-cha E-chaしたい」を思わせるのはそこなのかも。あと少し前の記事でも触れましたが、歌っている4人とも声のキャラづけがはっきりしていてそれぞれ被らないので、聴いていて面白いです。


4. Identity / 宮野真守
『PASSAGE』2013.9.18 キングレコード
作詞:荘野ジュリ 作曲・編曲:Jin NAKAMURA
同じCDからは"なるべく"一曲、と書いたのはこれとスーパーノヴァどちらか片方を選ぶことはできなかったからです(というよりもこのアルバム自体捨て曲がなくて、二曲でも泣く泣く絞りました)。これはもうひたすらに格好良い。全体に和っぽい要素をちりばめつつも、奇を衒いすぎて『和風』というテーマだけが浮くこともなく、現代的な要素と高いレベルで調和していて、一時期はこの曲を超ヘビロテしていました。にもかかわらずなぜ4位なのかというと、作曲者がJ-POPを主戦場にしていることや宮野さんの歌が上手いこともあって、この曲は結果として声優の曲というよりも普通のJ-POPに近づいてしまっているんです。もちろんそれが悪いと言いたいわけではなく、いい曲であればそれで全然かまわないし事実この曲も大好きなのですが、声優が歌う曲としての面白みとしてはもう一曲のほうに軍配が上がるかなと思ったわけです。


3. YOU + I = ♥ / 3 Majesty
『ときめきレストラン☆☆☆』劇中曲 2013.9 コナミ
作詞:大内正徳? 作曲・編曲:平田祥一郎
というわけで音源になってなくて入れたい曲とはこれのことです。ときレスにはこの曲を入れて4曲の劇中歌があり、その全てが平田先生の手によるのですが、3 Majestyのほうはパプリックイメージ通りのザ・ヒラショー、対するX.I.PのほうはIIDXに収録されている「Crazy K.I.N.O.」や娘。の「地球が泣いている」のような攻撃的なサウンドになっています。後者は平田先生のワークスのなかではけっこう珍しいのでそこも嬉しいです。
"コナミを退社してアイドルポップスの世界で売れっ子となった平田先生が、アイドルをテーマにしたゲームの劇中歌という形で久しぶりにコナミのゲームに関わる"という背景だけでも勝手に心が熱くなるのですが、さらにこの曲は「白いTOKYO」を思わせるイントロに、ザ・平田祥一郎としか言いようのないメロディ。「あいしてる、あいしてる」(ちなみに正確には"♥してる"と表記)と繰り返されるサビの幸福感。もうこんなの嫌いなひといるわけないじゃないですか。一刻も早い音源化を望みます。


2. カノン / 宮野真守
『カノン』2013.4.10 キングレコード
作詞・作曲:上松範康 編曲:藤田淳平
わざとらしくなく、あざとさのない、過剰すぎないドラマチックさ。少し前の記事でも書きましたが、この曲のすごいところを簡潔に言うとそれに尽きると思います。疾走感のあるバンドサウンドに加わる印象的なピアノ、その上を難しく変態的に動くメロディ、それをさらりと歌いこなし自然に聞かせる歌唱力、アニメの主題歌として内容に沿いながらなおかつ声優個人の歌うメッセージとしても成り立っている歌詞、どれをとっても並の気合いと力の入れようではなく、非の打ちどころがないんじゃないでしょうか。
声優の歌というのは本業ではないゆえにどうしても滲み出てしまうけれん味や気持ち悪さを楽しむものだと思っているのですが、このひとはわりとなんでも違和感なく歌えてしまうので、"普通のいい曲"(なんか変な表現ですが)だとそれが逆に仇となってさらっと聞き流せてしまう気がします。もちろんそのおかげで偏見をなくして入ってくるひともいるし、実際わたしもそのひとりなのですが、それって突き詰めると「じゃあわざわざ声優の曲聴かなくても普通のJ-POPでいいよね」となってしまう危険性もあって。(なんかこのへんはアイドルにも通じるような……)この曲はそこをうまく逆手に取って、じゃあこれならどうだとばかりに提出された最適解という感じがします。


1. スターテイル / 寺島拓篤
『スターテイル』2013.7.3 ランティス
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:工藤嶺
もうただただ最高に素晴らしい。正確に言えばこのひとはちょっと歌い方がくどいなあというのはあるんですが、それも気にならないくらいこの曲は良い。わかりやすいようなわかりづらいような例えで言うと『2005年くらいのギターロックバンドがスマッシュヒットを飛ばしたシングル曲』みたいな。なぜカノンではなくこっちを1位にしたかというと、誤解を恐れずに言えば、そのロキノン感の自分への刺さり具合が半端なかったのです。しかも、このシングルのカップリングの作曲がそれぞれ木根尚登と岩田アッチュってどういうことですか笑
歌詞も難しい言葉を使っているわけでも長々と文章を載せているわけでもなく、それでいて独特かつ確実な言葉を力強く発する感じがとても良いのですが("スターテイル"というタイトルのセンスにもそれは端的に現れていると思います)、本人作詞と知ってびっくり。個人名義では全曲の作詞を手がけているのですが、ちょっと暗黒微笑的なものもありつつも笑、しっかり自分の世界観を構築しつつもちゃんと曲調に合わせて書き分けていて、才能というのは意外なところに隠れているんだなあと実感しました。



というわけで、自分でも正直予想外の結果になりました。実は「スターテイル」はリアルタイムではCMガンガン流れていたのにまったくスルーしていて、この記事を書こうとしたときにそういえば、とふと思い出してチェックするまでは「カノン」がぶっちぎり1位のつもりでした……。気づいてよかった! 危なかった!
来年もまだこの情熱が続いていたらまたやりたいと思います。とりあえずはうーさー2期の主題歌が楽しみだなー。そしてそろそろ本家楽曲大賞の投票もしなければ……!