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グエン・ゴック・トゥアン『囚われた天使たちの丘』

TDCのグッズ列で読み進めたおかげもあって、ぶじ最後まで読了できた! 文章自体はさらさらと読みやすいのだけど、描かれる世界がちょっとおとぎ話的な感じというか、どこか別の世界の物語のような感覚で時系列もけっこうあちこちに飛ぶのですんなりとは飲み込めない部分もちょくちょくあった。
孤立した丘の上にある家のなかで、父親がふしぎな三姉妹を守るためにさまざまなルールをつくるのだけど、それが父の死後むしろ呪いのようになっていき、また自由を求める次女は家の外の本物の自然がある場所、"秋のある場所"へと向かうようになる。そしてだんだん事態は破滅へと進んでいく……みたいなあらすじなのだけど、とにかく描き出される情景がとても美しく、実際にオリジナルの詩も多く出てくるのだけど地の文自体も詩的だった。象徴的な親殺しみたいなことをテーマにしてるのかなあとか考えて読んでいたのだけど、ラストがけっこう予想外でした。それまでの話が単純に虚言だったと捉えるのはいちばん簡単な解釈だけど、それだけではない意味がきっとあるよなー……と思いつつもなかなか難しい。とりつかれたように同じ物語を話し続けてしまうのも、より悲劇的に感じられてしまうというか。。ベトナム文学って全然イメージがなかったのだけど、これはとてもよかったのでほかの作品も読んでみたいな。iBooksで無料で公開されてるよー。