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鈴木達央 / Turn of my life

Turn of my life

Turn of my life

なんかあんまりことさらに書くのもなぁ、と思ってずっとこの記事を書くのをためらっていたんですがあまりにもあまりにもあまりにも名盤なのですよ! とか言ってると「またどうせ推しメンのアルバムだからそんなこと言ってるんでしょ」的な疑いの目を向けられてしまいそうですが、そこは騙されたと思ってひとつ。
とにかくすべての曲のレベルが高いというか捨て曲がない! この頃の彼のヴォーカルの特徴として、高音がとても綺麗に出てリズム感がよく(そこがRONくんの曲と相性がよかったのでしょう)、歌い方に少し癖がある……といったことが挙げられると思いますが、どの曲もそれをうまく活かすように作られています。曲調も一辺倒ではなく、ラップあり力強いポップスあり聴かせる曲あり少し大人びた曲ありと幅広く、歌い方もそれに合わせて変えているのが器用。そのなかでも頭ひとつ抜けていい曲だなあと感じるのはやっぱりRONくん作詞作曲の軽快なトラックにキレのいい歌詞が乗る"VOICE"で、かと思えば"赤い月"なんかはのちの"DESIRE SHOW"とか"愛のWonderer"あたりにもつながる艶やかさを感じさせたり。
さらにこのアルバムは流れが良いです。最初に短いインストがあり、そこからテンポよく数曲続いたところでまた仕切り直しのインスト(このインスト自体もいい曲なのです)、そこからいったん落ち着いてまた盛り上がり、ボーナストラック的小品で終わるという構成なのですが、聴いてみると本当にこれ以外の曲順が考えられないくらいぴたりとはまっています。既発曲が6曲と全体の半分近くあるのですが、どれも浮いている印象がまったくないのがすごい。とくに"キャラバン"→"yesterdays"→"Just a survivor"の流れはこの順番だからこそよりよく聞こえるというか、曲順の妙を感じます。前2曲は実は初聴そんなにピンとこなかったのですが、少し時間が経ってから聴くと嘘のようにグッときてびっくり……。
ここまでさんざん褒めてきましたが、しかし"鈴木達央"としてのアルバムはこの一枚しか出ていません。これが本当にやりたいことではなかったのか、このあと数年の空白期間を経て彼は自分のバンドを始めますが、正直このアルバムが出た22歳の時点でこんなに歌えていた(というか下手したら今より上手いのでは……)のに続かなかったのはもったいないという気持ちが大きいです。オルドコデックスもそっちはそっちで好きなんですけどどうしてもバンドサウンドに偏るし、もっともっといろんな彼の歌声を聴いてみたかったなあとも思うわけです。まあ本人のメンタル的なことで続けられなかったとも言われていますし、今更いろいろ言ってももう遅いのですけれど。それにこの一枚だけだったからこそこんな奇跡的な作品になっているのかもしれないのですが……
これ以降の作品は好き嫌い別れそうでなかなかひとに薦めづらいのですが、これと乙女番長は楽曲派的にもっと評価されてほしいというか、できればいろんなひとに聴いてもらいたい。個人的にはこの二枚が推しメンのアルバムでよかったなあとわりと思ってるくらいです。