過去ログ

つづきは http://pinkpinkypink.hatenablog.com/ へ

ポルノグラフィティ/ポルノグラフィティ

またか!って思われそうで怖いんですけどまたです。7枚目のアルバム、セルフタイトルの『ポルノグラフィティ』について少し思うところというか考えたことがあって。
そもそもこのアルバム、なんでセルフタイトルなんだろう?ってずっと不思議だったんです。サポートメンバーを固定してバンドサウンドにこだわったっていうのは知識としてわかってはいたんですが、正直地味というか、あんまりぱっとしないアルバムだよなあという印象が発売した頃からありました。じっくりと聴いてみても、いい曲とそうでもない曲、というかむしろ力の入った曲とそうでもない曲の落差をはっきり感じてしまって、ひとつの作品としてみるとかなりいびつなように感じていました。自分のなかでセルフタイトルというのはバンドにとってある程度代表的な作品につけるものだと思っていたので、そこにあれ?となっていたというか。
ただ、ウォーカーの歌詞が自分たちの活動自体のことを歌ってるんじゃないかという解釈を偶然目にして、ちょっと考えが変わってきたのです。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1456859439
もちろん、これが正解だと言うつもりもないですし、本当はとくに深い意味なんてない可能性だってあるわけですが、いままで腑に落ちなかったことがすとんと納得できた気がしたんです。つまり今までのような、世間が考えるいわゆる『ポルノグラフィティらしい』楽曲にひと区切りをつけて、これから新しいポルノグラフィティを始めていくよ、その最初の名刺代わりの一枚がこれなんだよという宣言としてのセルフタイトルなんじゃないかと。個人的にはセルフタイトルのアルバムが一番バンドの音にこだわっている感じがするのは、いろんなことやってもあくまで原点はそこにあるよと言われているようで嬉しいですが。
もともとポルノは楽曲のジャンルの幅が広いバンドではありますが、それを考えても"空蝉"、"鉄槌"、"Light and Shadow"、"My 80's"などこのアルバムには今までになかったような曲が多く収録されているように感じます。それももしかしたら、本当に自分たちのやりたい音楽への試行錯誤の一歩だったからなんじゃないかなあと思いました(もちろんm-CABI以前の曲が嫌々やっていたとかそういうことではまったくなく)。"Please say yes, yes, yes"も"ジレンマ"に代わる新たな定番を作ろうとした試みのようにもとらえられるし。
ただ、そういう意気込みのせいか、このアルバムは力が入りすぎて空回りしているようにも思えてしまうんですよね。もちろん新曲でツアーを回れるのが現役バンドなんだというのはわかりますが、結局"ジレンマ"だって相当いい曲だからずっと残ってきてるわけだし、上手い具合に過去の楽曲とのバランスもとっていかなければいけないわけで。そのへんの揺り戻しみたいなのがこの後のベストに収録されてるシングル群(とくにラブデスとか)に現れているのかなとも思います。
ただ、そこから本間さんの曲がなくても派手というかちゃんと強い曲を作り上げることができるんだよというのが証明されたのがトリガーで、その次のパノラマでやっとアルバムポルノの時点でのひとつの理想形みたいなのが提示できたのかなあと考えると、このアルバムはその後のポルノの方向性をかなり決定づけてたんじゃないかなと、まあ後付けと言われればそれまでなんですが思いました。そういう意味で、このアルバムをどう評価してるかでそのひとがポルノグラフィティというバンドをどういうふうに捉えてるかが見える一枚だと思います。